京都の古本屋・本屋・書店・学校、世界文庫。店主、古賀鈴鳴。

「 Sunny Day Service コンサート 」

きょうも新しい1日。

Twitter のタイムライン。
サニーデイ・サービスの、きのうの、渋谷公会堂のライヴがすごく良かった、という話題で盛り上がっている。
行けなかったので、読んで、行ったつもりになってみる。

サニーデイ・サービスは、自分にとって、最もたいせつな、青春のバンドのひとつ。



最近は、少し、ご無沙汰しているけれど。
以前、サニーデイの曽我部恵一さんに、よくご依頼いただいて、CDジャケットや、ポスターや、本のデザイン等のしごとをしていた。
他にも、イヴェントをしたり、対談したり、審査員をしたり、トークショーをしたり。
友達になったので、世田谷や下北沢で、しょっちゅう、事務所や、レコード屋で話したり、珈琲を飲みに行ったりしていた。
曽我部さんのライヴも、何度も、観に行ったり。
沖縄に、2人で、離島旅したりしたのも、いい思い出。

会話の中心は、ほぼ、音楽の話か、映画や芸術の話か、くだらない冗談か。
その中にきらりと光る印象的な言葉があって、いまだに、ずっと覚えている。
曽我部さんの言葉が、自分の中に、いくつかある。
詩のように降ってくる。

会わなくても、いつも気になっているひと。



時計の針を、もう少し、戻して。

それより以前。
当時、お付き合いしていた恋人は、音楽がすごくすきなひとで。
いろんないいバンドや音楽を知ってて、いろいろなことを教えてくれた。
そんな彼女の言う、世界で一番すきなバンドは、「 サニーデイ・サービス 」なんだった。

でも、そのバンドは、2000年に、一度、解散していて。( 後に、2008年に再結成する )
もう、観れないのか、ライヴ観たいね、なんて、ことあるごとに話していた。

恋人の部屋では、サニーデイのアルバムも、よく流れていた。

「 じゃあ、そんなあなたの一番すきなバンドの、一番すきなアルバムは何なんですか? 」
などと聞いて、困らせたりするのがすきだった。

さんざん悩んで、「 うーん。全部すきだけど、やっぱり、Sunny Day Service かな・・・」
などと言っていた。
牛のジャケットが印象的な、4枚目の、バンド名を掲げた、セルフタイトルアルバム。「 Sunny Day Service 」。

自分は、くるり っていうバンドの、CDジャケットのデザインのしごとを、何作か続けて制作した後で、当時、CDジャケットのデザインの世界で、少しずつですが、デザイン誌やいろんなメディアにも取り上げられたりして、世間にも、知られるようになってきていた時期だった。
「 サニーデイ 」のジャケットのデザインもやってみたかったなぁ・・・などと、よく話していた。
彼女が一番すきなアルバム「 Sunny Day Service 」も。あれは、ほんとうは、自分がデザインしたかったのに・・・などと、大人げない、無茶苦茶なことも言っていた。
古賀さんのデザインだったら、きっと、もっといいんだろうなぁ、って、やさしく言ってくれるようなひとだった。

いろんなことがあって、その恋人とは、離れることになった。



また、時計の針を、少し、進めて。

2008年に、『 RENDEZVOUS BOX ランデヴー・ボックス 』という、曽我部さんの、いろんな名義でのバンドとソロ活動を、2枚のアルバムと、1枚のDVD、1枚のドーナツ盤とで、コンパイルした、豪奢な仕様の、BOX セットが出ることになった。
その、すべてのアートディレクションとデザインを、古賀に、というお話を、曽我部さんから、いただいた。

その中に入っているCDアルバムの1枚は。
曽我部さんが、ひとりで、サニーデイのいままでのアルバムを、同じ曲順に、再演した内容を、アルバムにするという人気のシリーズのひとつで。
あの、牛のジャケット、「 Sunny Day Service 」のアルバムを、セルフカバーしたアルバム。
「 Sunny Day Service コンサート 」なんだった。

あのアルバムの、双子のような、アルバムが出るのだ。

そして、それを、自分が、デザインできることになったのだった。

そのお話をいただいた時。
しずかに、ゆっくり目を閉じて。
息がとまりそうだった。



いつも、真摯に、しごとをしていると、自分で、思っているけれど。
古賀はおおげさだなあ、と思われるかもしれないけど。
音楽のしごとは。
自分が、思春期に聴いてた音楽に影響されすぎているせいもあって。( 音楽が友達だと思っていたので )
いつもノイローゼになりそうなくらい考えて。
考えて。
ほんとに、命懸けでやってたりする。
気持ちは。

たいせつな音楽は。
聴いてくれる、そのひとたちの、生活や、思い出や、一生の、大事な、テーマソングや、BGMになったりするからだ。



また、春が来て、サニーデイが聴きたくなる。
一年中聴いているのだけど。春はとくに。

予想もしないようなことが、ときどき起こる。
人生は、おもしろいな、って思う。

( 画像は、『 RENDEZVOUS BOX 』の外箱のデザインと、CDとは別のデザインにした限定アナログ盤の『 Sunny Day Service コンサート 』のデザイン。風景の写真も古賀が撮りました )

RENDEZVOUS
sds_concert